本日 15 人 - 昨日 12 人 - 累計 58466 人
その1 高台寺でカルチャーショック

実は京都には連れと一緒に訪れていたのだが、互いの興味が違うところで、個々に散策を行っていた。
高台寺に拝観の際に連れがトイレに行ったらしい。
待ち合わせの場所で合流するや否や「さっきトイレに行ったら、並んで扉を開けっ放しで用を足しているのよ、ビックリしたわぁ」と見てはいけないものを見てしまいショックを受けた様だった。
私の知る限りではその様なトイレ習慣は、多分漢字言語の日本海を挟んだ隣国の方だと説明。
しかしその国でも都市圏では近年欧米の習慣に変わって来ている。
過去のバブル崩壊以前だからかれこれ30年ほど前に、日本人の団体旅行客を世界中で「農協さん」と呼ばれる時代があったが、連れはおそらく隣国のその手の観光客に遭遇してしまったのだろう。



その2 高桐院でニューハーフ???

高桐院の拝観を終え唐門から表門に向かう石畳の参道を進むと、小柄でお洒落な身なりの年の頃だと大学生程だろうか、漢字系かハングル系と思われる東洋人男女五人組の二人から声をかけられた。
デジカメを差し出し早口の英語で話しかけられたので、てっきり写真を撮ってくれないかとのリクエストかと思ったのだが、よくよく聞くと一緒に写真に納まって欲しいとの内容だった。
初めての事ではなかったので「誰と」と尋ねるとその中の顔立ちの良いイケメンの男子が自分と一緒にと申し出た。
てっきり女性とだと勝手に思ったので少々意外だったものの、快く承諾して唐門を背景に撮影をしたのだが、交わした言葉が英語とどこの国の人かも聞かなかったので、あの写真は何の目的で撮ったのか後から少々不安になってきた。
そもそも初老の男と見ず知らず初対面で異国の大学生程だろう男子が、一緒に写真に納まるのって何か変ではないか。



その3 錦市場で関オバの脅威

昼食とも夕食とも言えぬ食事を錦市場の中でとった。
京野菜を売りにした“おばんざい”を提供する時間制のバイキングだったのだが、隣に座った関西弁(多分大阪弁)のオバン二人のパワフルなことに驚いた。
先に席に着いたオバン二人はそそくさと席を離れ、大盛でカレーライスと小分けしてpic出来るトレーに、“おばんざい”を持って戻り席に着くや談笑と食事を一気に始めた。
私も小鉢にサラダを盛って席に戻り食事を始めた。
連れと談笑しながら小鉢の野菜が三分の一ほどに成った時、真左のオバンAが「パスタがあったわよ、貴方も持ってくる?」とオバンBに聞き、聞かれたオバンBも動きを止めることなく「お願い」と言いながらスプーンを口に運んでいた。
オバンAが席を離れたこの間、店内のこの一角は急に静かに成った。
オバン二人が席に居た間は食べる動きを止めることなく、ズウ-ツっと会話も途切れず話し続けていたからだ。
席に戻ったオバンAは、両手にバスタを盛った皿を持ってきた。
再び二人のオバンは談笑を始め、目の前に置かれたパスタを口に運び始めた。
連れを見ると目で私に何か語り、私も連れが何を言わんか察して思わず連れと二人で微笑んでしまった。
私も小鉢のサラダを食べ終わり、トレーに“おばんざい”と松茸ご飯を席に持ち帰りメインの食事を始めたのだが、私の真横のオバンAはラジオのボリュームを上げた状態で話しっぱなしだ。
それにしてもこのオバン二人、京野菜に“おばんざい”が売りの店でカレーとパスタは無いだろう、まるで名古屋でモーニングでも食べている様にみえる。

窓越しに見下ろした錦市場の往来の様子や店員の仕草を連れと眺めながら食事を終え、店を出る身支度を始めるとオバンAがオバンBに何か話しかけ三度バイキングに向かった。
支払いをする私たちの脇を“おばんざい”を盛ったトレーを二つ持つオバンAが席に向かう姿と、入れ替わりにオバンBがバイキングに向かう姿を見て店を出た。
あの二人どこまで食事をするのか、四条から烏丸に向かう間、関西オバンのパワフルさで連れとは話がもりあがってしまった。

ふっと思った。 あのオバンと漢字言語の隣国の人達とは妙にダブって見える。
話し方、食事の仕方や行動が似ている様に思うのは波長が合っているのではないかと。
関西オバンを理解出来れば漢字言語の隣国も理解できるのかも・・・と軽く考えてしまった(笑)


 7時にホテルをチェックアウト、京都駅ビルで軽い朝食を済まし、大徳寺塔頭の高桐院に向かう。

高桐院では表門を右に折れ正面に唐門を望む光景と、客殿より目前に広がる、竹林を背景にした楓の庭園で、静寂の時をゆっくりと、出来れば独り占めで楽しむのが目的だった。

高桐院参道塔頭院が並ぶ壁伝いに伸びる道に観光客の姿はなかった。
表門をくぐり右に折れ正面に唐門を望む光景にも人影はなく、石畳が敷かれ真っすぐにのびる参道の光景を前に、歩みを止め一人で楽しむ事ができた。
紅葉は最盛ではないものの、緑の中に紅葉した様はここでは絵になるように思われた。
入口

客殿には既に二三人の拝観者が訪れており(残念!)、おの々庭園を静かに見入っている。
客殿2   客殿3

           静かだ。

客殿1私も客殿の畳に座して庭園を眺める。
静かな中にときより鳥のさえずりが響いた。

   
出来れば紅葉に染まる最盛の光景も観てみたい。
来月初旬に再び訪れるかなどと思いをめぐらせ、長い時間を庭園の前で過ごした。
ここに居る時だけで京都を訪れたことに満足してしまった。


帰途の時間を考え、後ろ髪をひかれつつ高桐院を後にした。
遅い昼食は錦市場でとって行くことにする。

 祇王寺を出て時計を見ると14時40分。
夕食を四条河原町から御池あたりでと予定していたので河原町へ移動する。
阪急河原町駅を出たところで、高台寺のライトアップを観てから晩飯にすることにした。
先斗町の狭い路地を横目に四条大橋を渡り、八坂神社に向かって歩きはじめる。
右前方に花見小路口が見えた。
現役当時は関西出張の際はこの界隈に来たものだが、今はとてもとても(笑)

鍵善良房本店鍵善良房本店の前を通ると一段落ついた時間だろうか店内は空いていた。
奥に客待ちは無い様なので甘味をとり一休みするかと奥に進む。
客待ちが無いとは言え喫茶は空席が一目で判るほどは空いてはいなかった。
メニューを見る必要は無かった。
季節外れではあるが、店に入った時から「くずきり」を頂くことに決めていたからだ。

食す際、私は黒蜜でいただくのだが、京の方は白と黒どちらで頂くのだろうか?
出された器は重箱の様に二段重ねで上段に蜜、下段にくずが入っているのだが、京の事なので今で言うケータリングの名残ではないかと推察する。
「くず」はうどん幅、大事な食感は想像していた程の弾力は無かった。
蜜に絡めるとこの幅が味食感を際立たせるのだろう。
食レポではないので上手な表現が出来ずに申し訳ない。茶で口直しをして店を出る。

四条通りを進むと東大寺通りと祇園交差点でT字に交わり正面が八坂神社。
右に進みゆるり坂を上り始める辺りを10時方向に路地を上ると左に大雲院門前、右に折れて進むとねねの道。
道は徐々に狭くなり、高台寺開山堂へ上る石段口辺りは車一台分の広さの路地だ。
ライトアップが目的の旅行客やアベックで台所坂の石段中程は結構な人混みに成っていた。
ねねの道入口          境内入口

境内を巡り一押しは書院を背にして開山堂を望んだ光景、そして臥龍池に映した木々の赤や緑の美しさではなかっただろうか。
書院背に 池に映す

時雨亭から下る途中の竹林も良かったが、嵐山のそれには見劣りする。

竹林


番外として茶屋裏に隣接する駐車場よりの京都タワーを望む景色は意外であった。
        京都タワー
今日は随分と歩いた。
河原町まで戻り御幸町から高倉町辺りで食事処を探すことにした。

 竹林の小径を抜け大河内山荘庭園を右に折れ、トロッコ嵐山駅を右眼下に見ながら小倉山二尊院へ向かう。
人通りは疎らになり辺りは漸く静けさを取り戻した。

二尊院 総門二尊院の名は、本尊の「発遣の釈迦」と「来迎の阿弥陀」の二如来像に由来しており、総門を入った参道は左右がもみじに覆われ、「紅葉の馬場」と呼ばれる紅葉の名所として知られている。
真っ赤に染まるもみじの中に、真真っすぐに延びる参道の光景を期待して総門をくぐった。期待はもろくも崩れてしまった。

門を屑る前はこんな光景を描いていた……が     目に入った光景は………

理想の馬場          二尊院 紅葉の馬場


二週間ほど訪れるのが早かったようだ。

所々に紅葉するもみじ葉を楽しみながら正面の石段を登り、二如来像にお会いして、茶室での一服にこれから最盛を迎える紅葉を思い浮かべて、貞信公(藤原忠平)の「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ」と呟き静かな時間を楽しんだ。

「巡る先々で楽しみにしている紅葉の光景は期待出来そうもないなぁ」
思いつつも二尊院を後にして祇王寺に向かう。

祇王寺は平清盛の寵愛を受けた白拍子の祇王が清盛の心変わりにより都を追われるように去り、母と妹とともに出家、入寺した悲恋の尼寺として知られている。

質素な母屋を取り巻く苔むした庭を眺めると、日本人なら誰しもが感ずるものがあるだろう。
真っ赤な絨毯というわけではないが、赤や黄色の落葉の間から緑が美しいビロードの様な苔が見える様は言葉で上手く表現できない美しい光景……のはずだったのだが(T T)

祇王寺 苔の緑を楽しみ祇王寺を後にした。

「そろそろ京都も紅葉の見ごろかなぁ~」
頭の上に吹き出しが「ポッ」と現れた。
思い立ったが吉日、デジカメと三脚を鞄に放り込んで準備よし。

京都駅には10時を少々廻っての到着。
平日木曜の通勤時間を外れているので勤め人の混雑はないが、それでも観光客は多い。
ホテルに寄って余分な荷物を預け散策に向かうことにする。

バスロータリーに出るや、京都タワー側から歩道を埋め尽くした大行列に遭遇。
大群を横目に歩くと先頭は清水寺、慈照寺方面のバス停だった。
大声で会話をしているので否が応でも耳に入る、漢字の並ぶ言語だった。  恐るべし!
東山方面を避けて嵐山嵯峨野方面に向かうことにした。

湯豆腐渡月橋に向かう道はまだ然程混んでおらず、昼には少々早いがお決まりの湯豆腐で昼食を済ます。
入店はタイミングが良かった。
食事を終える頃には店内も大分混み始めていた。外にはタクシーで乗り付けたのか狭い路地がちょっとした渋滞に成っていた。
腹ごなしには丁度よい、竹林の小径に向かう。




竹林入口になる豆腐屋の角は、立ち食いの人混みで路地を塞ぎ、かき分けて路地に入る。
小径を進むにつれ失敗を痛感した。明日の午前中早い時間に訪れるべきだった。
竹林の小径は国際色豊かな通りと化していた。