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ヤマト運輸の功罪

2017年03月02日
アマゾン配送でヤマト問題がクローズアップされている。
実は物流の問題は今始まったわけでは無い。
数年前、アマゾンの配達はヤマト運輸と佐川急便の二社が主軸で行っていたのだが、アマゾンは物量増による物流費の圧縮を図るべく配達業者への値引きを要求した。
結果、佐川急便は撤退をしてその扱い量は全てヤマト運輸に流れる形になった。

ヤマト運輸や佐川急便は物流業界では路線宅配業者と呼ばれている。
様々な点で両社は古くから話題に事欠かない歴史がある。

ヤマト運輸は郵便局で行う「ゆうパック」をターゲットに展開して行く。
全国の郵便局数を上回る店舗数を開設と豪語し実行していった。
世論は色々と問題を懸念したが、当時の首相小泉純一郎の郵政民営化に後押しされる形で勢いを増した。
その間にも1983年スキー宅急便、1984年ゴルフ宅急便、1987年クール宅急便と目新しい商品を世に送り『日本のわがまま運びます』とTVCMを使い流し始めた。

配達時間帯指定と細かなサービスを行うなどまさに日本人のわがままを取り込んでいった。
ちなみに時間指定の配達は午前10時、午後1時、午後3時が圧倒的に多いのだが、on timeでの対応は配達員数という不効率な問題があり物理的に不可能の為幅を持たせた時間帯指定となった。
首都都市圏での車両駐車問題で荷車を使い配達するサテライト店の展開もいち早く導入した。
このような様々な商品をリードした形で展開していったのがヤマト運輸である。

世は短時間で様変わりして行く。
アマゾンを含む通販が席巻する世の中となり、ヤマト運輸が豪語した『日本のわがまま運びます』は10年ですっかり日本人の常識として浸透してしまった。
そしてヤマト運輸の営業戦略は彼らが想定した数十倍もの効果を彼らにもたらしたのだった。
が………..彼らの誤算も露呈した。
この15年、3PL、4PLと効率を図る名目で物流の上流には効率を企画する部署がもてはやされたが、下流の問題は全く検討されず無制限に対応可能と錯覚を起こしてしまっているのだ。

今ヤマト運輸だけで起きている問題では無いのだ。
ヤマト運輸は常に業界をリードしたパイオニア的存在だと思うが、業界内をかき回してグチャグチャにしてしまった存在でもあると思う。
クール宅急便事件はまだ記憶に新しい。
クール宅急便として荷主から受けて一般貨物と一緒に配達を行っていた。
すでにこの時期からヤマト運輸の内部崩壊は始まっていた。
自ら首を絞めた形ではないだろうか。
自ら首を絞めるだけであればヤマト運輸の問題で済むのだが、多くの運送業者は少なからずも影響を受けてしまっている。

自動車免許の制度も変わり、若年人口比も増加せず、不法滞在外国人の雇用問題もあり、物流業者が今後どの様な対策をとっていくのか、はたまた国交省までが出てくる問題になるのか。
黙って成り行きを荷主側は見ているだけなのか。
問題はそうとうに根深い。