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こそっと京都に「甘味のはしごで帰途に就く」

 朝の8:10分、烏丸今出川交差点のバス停で賀茂大橋方面へ向かうバスを待つ。
河原町今出川交差点まで二停留所の距離だが、今朝は流石に歩いて向かう気にはなれない・・・・と言うよりも歳のせいか体が拒否していた(笑)

出町ふたばの店先には既に10人ほどが列を作っていた。
流石に観光客は見当たらず皆常連の様子だ。
事前に連絡してあったのだろう。名を告げて包装された菓子を受け取り支払いを済ましている。
そんなわけで私の順番は直ぐに回ってきた。

出町ふたばの豆餅ふたばの名代といえば、やはり「豆餅」(だいふく)だろう。
赤エンドウは、しっかりとした歯ごたえが残り、程よい塩味と餡の上品な甘さ、その餡を包み込む餅の弾力が絶妙なバランスの逸品。
豆餅22個と赤飯で締めて¥4,900-
紙袋を携え横断歩道を渡り、地蔵尊の脇を抜け賀茂川河川敷のベンチへ直行。
今出川駅で仕入れていた茶と、紙袋から豆餅二つを取り出し早速いただく。
年甲斐もなく豆餅二つはあっさりと胃袋に収まった。

次は何処に向かうか?
慈照寺近く、鹿ヶ谷通り沿いの和菓子店に行くか。
丸太町駅からチョイ歩き、釜座通(かまんざどおり)裏手、西洞院通りにある老舗店に行くか
帰り時間の都合と初物を頂くことで丸太町へ向かうことにした。

再びバスで今出川の駅へ。
丸太町駅からは丸太通りを二条城方面に歩く。
本番前とは言え、京都の夏を感じさせる陽気に、手拭で汗を拭きふき歩くことになった。
IMG_3533IMG_3532釜座通りをやり過ごし、一方通行の出口を右折して西洞院通りに入ると、間もなく目的の店「麩嘉」本店が見えてきた。
住宅街の中に如何にもと存在感のある造りの家屋なので直ぐに判る。

「麩嘉」は京の食材で欠かすことの出来ない生麩を扱う専門店だ。
京より東国の地域では生麩といっても馴染みの薄い食材になるが、こと京都の食では語りきれぬ程の歴史と文化の詰まった食材だ。
その生麩専門店が甘味の「麩饅頭」なるものを提供している。
どうやら生麩が好物であった明治天皇のアイデアでつくられるようになった様だが、今や凡人の私でも知る一品なので、京を知る方達にはメジャーな存在だと思う。

今更説明は不要と思うが念のため。
「麩嘉」本店は造り処であるため、陳列ケースも無ければ飲食設備もない。
基本的に本店では小売りは行っていないのだが、唯一予約を入れて購入数量を注文しておくと嬉しいことに対応をしていただける。
その場で食す事も予約で伝えておけば準備していただける。

店先の暖簾をくぐり四伍坪ほどの土間から奥に声を掛けると、奥から三角巾を頭に被る女性が出てきて応対してくれた。
左の壁際にある長いすを勧められ、間もなくお盆に乗った麩饅頭と茶が運ばれてきた。
なるほど、この長椅子に座って食すのか。
麩嘉の麩饅頭連れを伴っていたら、二人で満席だな…..と想像してみた。
それにしても楊枝も無く素手でいただくとは予想していなかった。
気取りが無くそれはそれでいいのだが、濡れた笹葉を指先でほどき、饅頭を摘まんでいただいた後の指先を想像していただきたい。

IMG_3535長椅子に腰かけると正面は和室が設えてあるが、床(とこ)が造りこまれてあるので今で言う来客商談室とでも言うところだろうか。
畳敷きの一部に板が被せてあるのは囲炉裏でもあるのか?それにしては自在鉤が見当たらない…….など饅頭を口にする前にあれこれと想像してしまう。

一口でいける饅頭を口に放り込む。
“つるっ”とした舌ざわりに一噛みすると“もちっ”とした食感と、後から来る品の良い甘さの餡で、三つ四つまとめて頂きたいほど後を引く。

小売りをしていないので訪れる客は皆無。
店先の土間で店員もおらず、静にいただく甘味も京都だと思うとお洒落っぽい。
コロナ肺炎が治まったら今度は連れを伴って伺うことにしよう。
食を終えたことを伝え注文していた20個の麩饅頭を受け取り店を後にした。

新幹線ホームは人もまばらで、いつも見る様子とは全く異なっていた。
出張や観光自粛の効果は思った以上にあったようだ。
新幹線の一車両には20人程しか乗車しておらずこんなことがあるのかとビックリした。
思い切って京都を訪れたのはタイミング的に良かった様だ。







「こそっと京都に」の時期は7月第一週でした。
COVID-19肺炎感染拡大兆しの中でのTripに、いつになく所作には慎重を期した移動でしたが、幸いにして三密となる場面は市内電車の移動時だけだったと思います。
ひと月経ち、京都府の感染状況は千葉、神奈川、愛知とほぼほぼの感染拡大状況です。
しばらくは媒介者にならぬよう自粛して、次の計画をどうするかと楽しむことといたします。