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11-13 高野山にむかう 壇上伽藍(中門、金堂、根本大塔、不動堂)

 金剛峯寺の駐車場から金堂の中門前駐車場に移動する。

IMG_3251中門は闇にライトアップされた姿より、陽に照らされハッキリ見えることでシャープな様相である。
残念なことに、四体の「仁王像」は、闇に立つその姿の方がはるかに迫力があった。

中門の歴史をみると、実は天保14年(1843年)の火事で燃え尽きてしまい、以降、平成の時代まで再建されず中門跡地としてあったそうだ。
再建されたのは最近の2014年(平成26年)で、おおよそ171年ぶりに古の姿をもとの場所に蘇らした。
門の再建にあたっては大手ゼネコンが中心となり、跡地から発見された燃えカス等を分析することで材質・規模・着色料etcが判り、その結果より鎌倉時代の中門を復元して再建されたものの様だ。
仁王像と記した四体、実は”四天王像”だと言うことで、これも火事の際は被害を受けており、「増長天」と「広目天」は焼失により再造、「多聞天」と「持国天」は焼失を免れ修復され安置されている。
正面右側が「多聞天」その裏境内側は「増長天」、正面左側は「持国天」その裏境内側が「広目天」となる

IMG_3252中門をくぐると、正面の大きな建物が「金堂」だ。
高野山の開創時代から存在すると云われ、高野山では最古の歴史を持つとされ、現在も重要な行事はこの金堂にて執り行われている。
高野山の建物はどれもが幾度もの火災にみまわれた歴史がある。
現在の金堂も1934年(昭和9年)に再建されたものだとか。
昭和に入っての火災では、内部に安置された秘仏の7体が、完全に焼失している。
6体の脇侍(きょうじ)に関しては写真が残されてあり、写真と高野山内の調査記録を集録した「高野山金剛峯寺什器帳」の記述をもとに復原される形で再造されたが、肝心の御本尊は絶対秘仏だった為にほとんど尊容を拝んだ者がないことから、写真すら残されていなかったようだ。
少数の拝尊した者の記憶に「座像」の記憶は残るものの話を基に模索を試みるも、誰一人として尊容を思い出せなかったそうだ(意外といいかげんだった)。
な訳で現在は東寺と同じ「薬師如来像(やくしにょらいぞう)」が御本尊としてお祀りされている。

金堂の裏手には東から西へと直線状にお堂が並ぶ。
「根本大塔(こんぽんだいとう)」を中心に東は「愛染堂(あいぜんどう)」「大会堂(だいえどう)」「三昧堂(さんまいどう)」「東塔」「智泉廟(ちせんびょう)」。
西に「御影堂(みえどう)」「准胝堂(じゅんていどう)」「孔雀堂(くじゃくどう)」「西塔」

IMG_3253なかでも「根本大塔」は、空海の描く真言密教の世界 = 壇上伽藍そのものであり、「根本大塔」はその中心であり、高野山全体の修行場の中心であり、真言密教において根本となる場所に位置づけられ、その理念を表す意味合いの建造物になるという。
残念なことに幾度の焼失を免れず、現在の根本大塔は1937年(昭和12年)に再建されたもので、創建当初の木造ではなく鉄筋コンクリート造りである。
根本大塔の御本尊は「胎蔵界大日如来像」で、大塔内部の四方に「金剛界四仏」が祀られている。
「胎蔵界大日如来像」と「金剛界四仏」については、密教世界を私自身が理解出来ておらず、長くなるので割愛させていただく。
一つの感想として、塔内に空海の描く真言密教の世界を全て表現するために、大日如来像を中心としたあらゆる柱、四方八方内部壁面に仏が描かれており、空海独自の立体曼荼羅を作り上げたようだが、私的には強い彩色と目が回るほどの宇宙空間であって、心静かに落ち着くことは出来なかった事をおぼえる。(けして弘法大師の思想をけなし否定する訳ではないので関係各位にはご容赦を願いたい)

IMG_3254-1壇上伽藍の東側で是非観ておきたいのは「愛染堂」の向かいに建つ国宝の「不動堂」だ。
「不動堂」は高野山内の建築物として二例ある国宝のひとつで、創建は建久9年(1198年)鎌倉時代のものとされ、火事が多かった高野山において奇跡的に現存している古い建物だ。
本来は徳川家霊台の近く、一心院谷にあったものだが、明治41年(1908年)には解体修理が施され、その際、一心院谷から現在の場所に移築されている。
仏堂でありながら、当時の平安貴族の住宅様式をよく伝えていることから、国宝に指定されている。
堂内には木目漆塗に飾金具を打った須弥壇(しゅみだん)を配置し、運慶作の八大童子像と本尊不動明王が祀られているが、残念ながら特別拝観日ではない時期に訪れたため、拝観は出来なかった。

もう一例の国宝は北条正子が夫、源頼朝と、息子、源実朝の菩提を弔う為に貞応2年(1223年)に建立したとされる「多宝塔」だ。
高野山の建築物の中では最も古く、多宝塔としては滋賀県大津市にある東寺真言宗石山寺に次いで日本で2番目に古いものといわれる。
残念だが今回は時間の都合で「多宝塔」は訪れていない。

IMG_3254東側の堂を一通り観て(個々の堂には伝承話がありますがここでは割愛させていただく。興味のある方はWikipedia等検索願いたい)根本大塔の前を横切り西側へ向かう。